社員インタビュー
H
H
スタッフ(臨床心理士)
2015年入社
立命館大学大学院を卒業。しん入社後、病院やスクールカウンセラーなど複数の職場も同時に勤務し、幅広く経験を積む。現在はカウンセリング業務外でもメンバーさんと関わることができるしんに専念し、みちのスタッフとして働く。
◆社員インタビュー
Q.臨床心理士がしんで働く面白さはどこにあると思いますか?
A.メンバーさんと関わる場がカウンセリング室に限られていない、ということでしょうか。個室で1対1で向き合うという非日常の中でこそ本音を引き出せるという理論に基づき、話を聞くのは基本的にカウンセリングの場だけ。ましてや自分の情報を晒すなんて、と、大学では「心理士たるものこうあるべき」と学んできました。
それなのに、しんで働く私はその正反対。メンバーさん20人分のご飯を用意したり、一緒に作業しながら他愛もない話をしたりしています。
ここでのメンバーさんとの関わりには、一方通行のカウンセリングには無い、相互作用が生まれるのです。自分のことを開示しないと会話は続かないし、とはいえメンバーさんと関わる時間がこんなにあるなんて、これまで学んできた「心理士マニュアル」には書いていない…私、心理士として間違ってない? と最初は戸惑いました。
あるメンバーさんが、みちを卒業する際にスタッフ全員に手紙を書いてくださいました。感謝の言葉が記されているかと期待して封を開けると、そこに並んでいたのは「自分を良い人に見せようと偽っている」「真正面からぶつかってくれなかった」という、私への痛烈な言葉でした。心理士としての接し方ばかりに気を取られ、見落としていたことがあったのです。それは自分の弱さを自覚すること。メンバーさんには自分を見つめることを諭しながら、私自身がおざなりにしていました。関わる時間が長いからこそ、繕った私は不自然に写り、相手からの不信感に繋がってしまっていたのです。
しんは、地域で自立して暮らしていくための土台となる場所です。心理士というフィルターの前に、私とメンバーさんで時にはぶつかりながらも人間関係を構築していくことが社会復帰の第一歩に繋がるのだと、身を持って感じたのです。
Q.支援する上で心がけていることを教えて下さい。
A.一般的な心理士より幅広い形でメンバーさんと関わります。そのなかでも「キャッチした心理背景にまで意識を持っていく」という心理士としての姿勢は常に意識するように心がけています。
毎朝きちんと起床できているか、食事や気分の他、家族関係なども確認しつつ、ご本人が今後に望む生活のかたちを明らかにしていきます。たとえば年収はこれぐらい欲しいという方に対し、その情報だけを受け取るのではなく、ニーズの裏に隠れている本当のニーズを探ります。
なぜ高い年収を求めるのか。収入が多いことはステータスのひとつであり、わかりやすい成功例です。そこにあまりにも高い理想を求めている場合、根底には今の自信への自己評価の低さが関連しているかも知れません。そこを見逃さずにキャッチすることが、心理士として私に求められるものです。